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Androidのバージョンアップの問題と未来予想図


2012-06-27
Takuo Kihira

この記事は2011年3月7日、私がまだ前の会社を経営していた頃にFacebookで公開した内容です。
フィーチャーフォンとスマートフォンのシェア率は、2年待たず、1年3ヶ月でちょうど五分五分になりました。やはりこの業界はスピードが速いです。


携帯端末メーカーにとって、Androidのバージョンが上がるたびに対応しなければいけないインセンティブは、限りなく低いです。

メーカーの視点からバージョンアップを見た場合、

  1. お客さんには新端末を買ってもらいたいので、むしろ対応しないほうが売上が上がります。
  2. 新しいバージョンでの機能はGoogleが決めるので、そもそも既存端末が対応出来るかどうかわかりません。
  3. 対応するためには端末での動作テストが必要となり、それにかかるコストは甚大です。
  4. Android Marketでの売上があがってもメーカーには一切マージンが入ってきません。
  5. 日本独自の事情ではありますが、対応しない場合に評判が落ちるのはメーカーではなくてキャリアとなります。


このように、バージョンアップするメリットが皆無です。一度開発が完了し、発売されて流通に乗っている端末のサポートのために、社内の開発リソースを再度割くというのは相当きついでしょう。

AndroidはGoogleに仕様を握られているので、Googleが新しく企画する機能次第では、そもそも対応が不可能になることもあるでしょう。例えばAppleのiOSの場合は、現行のCPUチップセットやバッテリーなど、下位互換の事も考えながら新しい機能を策定しています。しかしGoogleの場合は、Android全端末での動作を想定することなど出来ません。新バージョンに対応出来ない端末が出るのは自然です。

そのような事情で、端末メーカーがバージョンアップに対応しない流れが出来てしまうと、古いバージョンを使い続けるユーザーが大量に発生するだろうということが予想されます。ブラウザを例にとると、IE6ですら2011月2月で未だ世界で12%のシェア(http://ie6countdown.com/index.html)があります。現在IE6の対応に悲鳴をあげている開発者は多いと思いますが、いずれAndroidでも同じような状況が発生することでしょう。

今スマートフォンを購入しているユーザーは新しい物好きが多いので、メーカーが対応しないとなればすぐに新しい端末に買い替えてくれます。また、世界的に見てもAndroidでの市場が広がっているとは到底言えません。それゆえに今はまだこの問題が表面化していません。しかし、おそらく2年後には日本において既存携帯とスマートフォンの割合が同じくらいになるでしょう。その時に、バージョンアップ未対応端末が大きな問題になるのではないかと危惧しています。

もしこの通りになったら、エンジニアはとても苦労することになるでしょう。今のうちから対策を考えておきたいです。